よくある緊急事態をいかに察知し、どう対応するかを身につけておくことは、愛犬の命を救うことになるかもしれない。しかし忘れてはならないのが、あなたは専門家ではないということだ。
応急手当の目的はあくまで、獣医に診てもらうまでのあいだに状態がそれ以上ひどくなるのを防ぎ、痛みと苦しみを最小限に抑えることにある。
犬は活発で好奇心が強く冒険好きな動物だから、どんな危険に遭遇してもおかくしくはない。
残念なことに都会では、つながれていない犬が車にひかれる事故が多い。
事故による外傷は、骨折、ショック、裂傷、出血、脊髄の損傷、胸や腹部の内部損傷などを引き起こし、死に至る場合もある。
このような事故を防ぐ最善の方法は、犬をつなぐか囲いのある庭に閉じこめておくことだが、いくら飼い主が注意しても、逃げ出して事故ないことが、いくら飼い主が注意しても、逃げ出して事故にあうことがある。
もし愛犬が車にひかれたら、すぐに獣医のところへ運ぶこと。
ただし犬を動かすときは細心の注意をはらわなければならない。
犬はケンカでもよくケガをするが、ことにオス同士の場合が多い。
襲った犬が大きくて噛まれたほうが小さい場合には、噛み傷が重傷になることがある。
深い傷はすぐに獣医にみせる必要がある。
小さな傷なら緊急事態ではないが、ていねいに消毒するように。
目に受けた傷はすべて、すぐに獣医に見せることが大切だ。
体に有害な食欲
犬は大の食いしん坊だが、それがしばしば事故につながる。
特に台所が現場になることが多い。
犬がレンジに近づきすぎると、熱い鍋や熱した油のはね、炎なので火傷をする危険が非常に大きい。
電気コードを面白がって噛む子犬や若い犬は、電気で火傷する事も珍しくない。
この場合もまた予防が肝心だ。
料理中は、犬をレンジに近づけないようにし、電気のコードは常にコンセントから外しておくか、犬が届かないようにする。
好奇心の旺盛の犬は、家に置いてある危険物や毒物を飲み込んでしまうことがあり、喉に小さな物がつかえて呼吸が妨げられたり、消化管に送られてしまったりという事態が起きる。
呼吸が妨げられる場合、犬は大変苦しむので、扱う際には細心の注意が必要だ。
中毒を起こす場合、摂取した物によってその徴候は様々なので、犬がなにか危険なものを口にしたのではないかと思ったら、症状を待たずに対処しなければならない。
たとえば漂白剤、除草剤、不凍液、殺虫剤、消毒薬など、日用品のなかには犬が口に入れると危険な物がたくさんある。
熱射病
容易に防ぐことができるもののひとつが熱射病だ。
熱射病は暑い日に過度な運動をすると起きるのだが、不注意な飼い主が車の中に犬を置いて出ることによって起こる場合のほうが多い。
暑い日には決して犬を駐車した車の中に置き去りにしないこと。
たとえ窓を開けていても、温度は何分もたたないうちに急上昇する。
すぐに手当をしなければ脳に障害が残るか、死に至ることもある。
心臓の悪い犬や肥満した犬、顔の短い犬などは、熱射病になる危険性が非常に高い。
口輪のつけかた
ケガや痛みのある犬には、静かにゆっくりと気をつけて近づくこと。
どんな動物でも、痛みや恐れにさいなまれているときには危険で、決して顔を動物に近づけてはいけない。
ヒモか布あるいはガーゼを用いて口輪をつけてやると、噛まれずに犬を扱うことができる。
ステップ1.布かガーゼかヒモのいずれかを、そっと鼻口部に巻き付けて輪を作る。
ステップ2.両端を持ち、もう一度鼻口部に巻き付ける。
ステップ3.頭の後ろで結び目を作る。呼吸しにくそうなら、巻き方をゆるめる。